【ゆいまーる Q&A】    Top


                       ★ 2012年6月発行 機関誌 第2号掲載

 この度、私たちは「ゆいまーる」メーリングリストを使用して、いくつかのアンケートを実施しました。視覚障害をもつ「ゆいまーる」会員が、どのような工夫をして仕事や勉強・実習をしているのか、どのような配慮を受けているのか、また、生活上で気をつけていることや余暇の楽しみなどを尋ねてみました。

 このアンケート結果を通して、私たちの様子を広く皆さまに知っていただき、理解を深めていただければと思います。また現在、視覚障害をもって医療職に従事している方々に少しでも参考になれば幸いです。

                   守 田 稔(もりた みのる)  戸 田 陽(とだ きよし)


 【回答者 16名】 職 種:医師、理学療法士、社会福祉士・精神保健福祉士
              医薬品会社勤務、元臨床検査技師

 【視覚障害状況】 A:重 度(墨字が読めない。)
          B:中等度(道具を使えば墨字が読める。歩行時、白杖使用。)
          C:軽 度(道具を使えば墨字が読める。歩行時、白杖なし。)

 ◇ 質 問 ◇

 【Q1】読み書きに使っている道具は何ですか。
 【Q2】カルテ(または、電子カルテ)はどのように書いているのですか。
 【Q3】カルテ以外の書類、例えば紹介状、診断書、意見書などはどのように作成していますか。
 【Q4】注射や血圧測定などの手技、画像所見、血液検査などの判読はどうしていますか。
 【Q5】職場であなたをサポートするのは誰ですか。専任ですか。また、配慮してもらっていることは何ですか。
 【Q6】職場で患者さん、同僚に接する時に気をつけていること、工夫していることはありますか。
 【Q7】当直・日直はどうしていますか。
 【Q8】職場内の移動はどのようにしているのですか。
 【Q9】医学書や専門書はどのようにして読んでいるのですか。
     また、専門分野の情報・一般情報はどのようにして得ているのですか。
 【Q10】便利なアイテムや工夫、役に立つソフトや情報がありましたら教えてください。
 【Q11】日頃、身体や眼への負担軽減のために気をつけていることはありますか。
     また、健康管理はどのようにしていますか。
 【Q12】息抜きにしていることや、余暇の楽しみは何ですか。
 【番外編】回答のハザマで見えた困りごと・お悩み・本音!?


 【Q1】読み書きに使っている道具は何ですか。

 ◆ パソコン関連
   音声パソコン(画面読み上げソフトなど)、音声読み上げ装置(OCRとスキャナー)
   画面の白黒反転機能および拡大機能

 ◆ 拡大鏡関連
   拡大読書器(卓上型、携帯型)
   拡大鏡(10倍ルーペ、電子ルーペ、ライト付ルーペ、ペーパーウェイトルーペ、眼鏡式ルーペ)
   カラービュー(色弱補助レンズ)

 ◆ 録音・再生、音声図書、通信関連
   ICレコーダー、デイジープレイヤー、文字読み上げ機能付携帯
   スマートフォン(iPhone)、タブレット(iPad)、PTP、PTP-1

 ◆ 点字関連
   点字ディスプレイ(ブレイルメモ)、点字板、点字用紙

 ◆ その他
   インターネットテレビ、デジタルカメラ、ハードディスク内蔵ミニコンポ、LED携帯スタンド
   特製定規、触覚で確認できる巻尺

 * 用語解説をご覧ください。


 【Q2】カルテ(または、電子カルテ)はどのように書いているのですか。

 ◆ 医 師

 @ 外来でのカルテの診察記録(患者さんとのやりとり)は、専任介助者に口述筆記。入院カルテの主要部分、外来カルテの症状のまとめ、診断名、処方、各種の指示事項などは、特製定規を介助者に置いてもらい、ボールペンを使って自筆。押印は、文章を読み上げてもらい確認した上で介助者に押してもらう。音声パソコンで作成した文章は、介助者に確認してもらった後に印刷する。電子カルテは使っていない。(A)

 A 外来カルテは、口述し看護師がパソコンに入力。入院カルテは、1行ごとに当てる定規を使い看護師に改行してもらう。(A)

 B 病院の患者管理システム(アクセス)に、自分が記載するカルテファイルがある。音声ソフトの対応状況により入院(予定)患者の情報、病名、処方箋など一旦エクセルに記載し、それをアクセスに貼り付ける。(A)

 C 点字カルテを作成し、それを基に墨字カルテを作成。(A)

 D 手書きカルテはそのまま記入。電子カルテ(オーダリングのみ)は拡大機能や白黒反転を使う。(C)

 E 音声パソコンで書いたものを印刷し、それをカルテに貼る。他のスタッフにも記載してもらう。電子カルテは使っていな い。(A)

 ◆ PT他

 F カルテは拡大読書器を使用して手書きする。(C)

 G カルテは携帯拡大読書器を使って手書きし、オーダリングは残存周辺視野を使い、マウスポインタでページを開いて見る。(B)

 H ICレコーダーに録音、長文の場合はパソコンで書き、印刷してカルテに貼る。(A)

 I カルテは、手書きと署名が必要という保健課の見解に従い、音声パソコンでラベル用紙に日付、施行時間、施行内容、コメントと施行者名を患者数印刷し、それをカルテに貼り改竄防止の割印をする。まだ電子カルテには移行していない。(A)


 【Q3】カルテ以外の書類、例えば紹介状、診断書、意見書などはどのように作成していますか。

 ◆ 医 師

 @ 専任介助者に口述筆記、またはパソコンに入力してもらい、特製定規を使って自署。必要に応じて看護師、その他にお願いする。(A)

 A 紹介状は、音声パソコンで自分で作成・印刷。診断書・意見書(年金、自立支援法、介護保険など)は、医療事務スタッフに口述筆記、またはPSWと同様の作業。入院時書類・退院時書類は音声パソコンで作成。処方箋は、処方を手書きし医療事務員がパソコンに入力。(A)

 B 病院の患者情報システム(アクセス)にあるファイルを使って記載。 内容(病名、現病歴、入院後経過など)は、音声ソフトの対応状況 によりエクセルファイルに記載し、それをアクセスに貼り付ける。 介護保険用意見書は、主に必要な内容を音声パソコンで記載し、それを職員(ケアマネジャー)が市販の意見書ファイルを使って入 力。リハビリ関連書類は院内の患者情報システムにはないため、 自分で作成したエクセルファイルに記載して印刷。約1,000名分 (5年分)の入院患者情報をエクセルファイルにして自分で管理している。(A)

 C 代筆による墨字文書を作成。今後はパソコンで作成し、コピーしたものを使用する予定。(A)

 D 書類は拡大鏡を用いて確認しながら記入。(C)

 E 診療情報提供書や診断書、使用頻度が高い意見書は、音声パソコンでテキストデータのひな型を使い作成。それをスタッフにクリニック内の別のパソコンにコピーペーストしてもらい発行。用紙への記載が必要な意見書などは、作成した文書を印刷しスタッフが代筆。処方箋は、クリニックの別のパソコンにスタッフが入力して印刷、それを読み上げてもらい自分のカルテに記載してある処方内容で確認してから発行。(A)

 ◆ PT他

 F パソコンで音声ソフト、ズームテキストを併用して専用のエクセルフォームに記入。(C)

 G 手書きチェック式のリハ・アセスメント表、会計表、3枚複写式のリハ総合実施計画書は、卓上型拡大読書器で記入。リハ退院時指導書、リハ経過報告書、バーセルインデックス、カンファレンス資料、業務日誌は、音声パソコンで作成。(B)

 H ICレコーダーに録音、長文の場合はパソコンで作成。(A)

 I 音声パソコンに、テキストデータやエクセルの定型書式を作って印刷している。(A)

 J 音声パソコンで書類作成。共有すべき書類に関しては、eメールで回してもらう。形式が決まっている書類は、メモを渡し代筆をお願いする。(A)

 K 検査依頼のマークシートは、色が薄いのでカラービューで対応。報告は墨字で行い、データ入力は他の人に代わってもらった。(C)


 【Q4】注射や血圧測定などの手技、画像所見、血液検査などの判読はどうしていますか。

 ◆ 医 師

 @ 血圧測定は、水銀柱型のものと聴診器を用い、目盛は介助者に読み上げてもらう。脈拍数は、音声時計のストップウォッチ機能で脈拍が15回打つ時間を計り、900をその秒数で割って算出する。注射、画像所見、傷口の縫合などは他の人に頼む。複雑な画像所見は、インターネットを用いた契約会社の専門放射線医師に所見を依頼する。(A)

 A 注射は看護師に口頭で指示、カルテに記載。血圧測定は看護師に依頼、画像診断は他の医師に依頼。(A)

 B 注射や血圧測定は看護師に依頼。文字データは看護師に読んでもらう。必要な画像などは他の医師に依頼。(A)

 C 注射は行わない。血圧測定器によりカフは巻けるが、測定値の読み上げをしてもらう。血液検査結果は読み上げてもらう。(A)

 D 注射や血圧測定は自分でやっている。画像所見は自分で読み、不安がある場合は他の医師にも確認してもらう。紙で確認できる検査結果は拡大して読む。場合によっては他の人に読んでもらう。(C)

 E 採血の手技は看護師にしてもらう。血液検査結果は、一般的な血液検査セットと正常値を書き込んで作成したテキストデータのひな型にスタッフが数値を入力、それを音声パソコンで確認する。患者さんには、患者さん用の結果用紙を渡し結果の重要点を中心に説明する。血圧は、自動血圧計で測定。画像所見は、X線ならば他の医師に紹介し、それ以上の検査が必要なら他病院にお願いする。(A)

 ◆ PT他

 F 画像は自分の目で確認。血圧計、体温計、パルスオキシメーターは、デジタルの画面が大きいものを使用。(C)

 G 血圧測定は、携帯型音声血圧計を使用。血液データは、携帯型拡大読書器で読んだり、OTかSTにオーダリング上で見てもらう。パルスオキシメーターは、画面を携帯型拡大読書器で見たり、看護師に読んでもらう。触覚で確認できる巻尺を使用。(B)

 H 脈拍数は、30回の秒数を1800で割って算出する。(A)

 I 画像所見や各種情報は、同僚PTやOT、看護師に説明してもらう。 (複数回答)(A)

 J 顕微鏡で細菌や組織の染色具合を確認する際は、遮光レンズやカラービューを使用した。(C)


 【Q5】職場であなたをサポートするのは誰ですか。専任ですか。
     また、配慮してもらっていることは何ですか。

 ◆ 医 師

 @ 外来では、病院事務書類・臨床関連書類の読み上げ、押印などは専任の介助者、病棟では看護師、医師を指導中は全て臨床研修医がサポート。他、職員全員。(A)

 A 文字情報、移動時の誘導、その他、必要に応じて全ての職員。仕事を進めやすいように全体で考えてくれる。(A)

 B 困っていたら周りにいる介護福祉士。専用のパソコンとソフト支給。わかりやすい物の配置。厨房スタッフが昼食の配膳とメニュー説明。(A)

 C 患者さんに関しては看護師、医師、ソーシャルワーカー、リハスタッフなど。書類は、病棟の看護主任や看護師長。他、多くの職員の見守りを感じる環境。(A)

 D 専任ではない診療補助員。所在不明物の探索・できない操作の補助。(A)

 E スタッフ全員(主に医師・看護師)。当直の免除。(C)

 F 同じ診療科のスタッフ3人がそれぞれ自分の仕事以外に、サポート(処方箋の打ち込みや印刷、予約の記載や調整など)を分担、診療範囲や予約時間の配分も配慮。診察時、1人は同室する。(A)

 ◆ PT他

 G 同僚PT。拡大読書器や音声ソフト、ズームテキストの購入を検討中。現在は他からの借り物。(C)

 H 同僚PT、看護師、MSWなどのスタッフ、時には医師。専用のパソコンに音声ソフトをインストールして、日誌やカンファレンス資料、マニュアルなど共用文書の入力、読みができるようになった。急ぐ場合は、晴眼者の同僚が作業を代行。(B)

 I 読み書きはリハビリ科の事務員。仕事の分担はやりやすい仕事を優先。移動距離の少ない場所を確保。個人文書の即時読み上げ。物の配置は、わかりやすいように整理整頓(重さ別の砂嚢など)。(A)

 J 看護師やPT・OT。必要なことがあれば申し出るように言われている。(A)

 K 大学院では、専任の支援サポーターから視覚情報を説明してもらう。動線を考えて物を配置。(A)

 L 大学院では人的サポート体制なし。周囲の自発的なサポートを受け入れる。体力的に移動困難な講義は、自宅でスカイプで聴講。 (C)

 M 就労支援先ではスタッフ全員。情報書類はスタッフ自身が読む時に声を出して読んでもらう。(A)

 N 近くにいる同僚にその都度援助を求める。(C)

 O 大学の先輩。夜盲症のため、1時間早く出勤、16時に帰宅する体制にしていただいた。(C)


 【Q6】職場で患者さん、同僚に接する時に気をつけていること、工夫していることはありますか。

 ◆ 医 師

 @ 聴診器を使ったり、血圧や脈拍を自分で測ることで、患者さんの体格や体調、栄養状態を知る。皮膚や眼瞼、傷口などは看護師にお願いする。(A)

 A 患者さんに自分の障害の話を最初からすることはない。視覚情報はスタッフを介して得る。(A)

 B 居室訪問時は入居者を確認できるが、フロアーでは間違えないように席順を確認してから話しかける。(A)

 C 講義をしている学生への期末試験問題などは、間違いがないように家族に校正してもらう。(A)

 D 入院初診時、問診で患者さんの声の質、口調などでその人を認識できるように努めている。状況により患者さんに目が不自由であることは話すが、他の医師も診ることも話し、その医師の名前も伝える。なるべく病室を回診することで名前と患者を覚える。(A)

 E 特になし。(A)

 F 目のことは患者さんに必ずしも自分からは伝えていない。(C)

 G 初診時、「実は私は目が不自由です。症状や困っていることを言葉で教えてください」と患者さんに伝える。視覚が必要とされる時は、スタッフに頼む。(A)

 ◆ PT他

 H 患者さんが転倒しないよう細心の注意を払う。(C)

 I 酸素、点滴、ドレーン、心電図、バルーン・カテーテルなどがつながっている患者さんのリハビリは、開始時と終了時、離床時は看護師に状態を確認してもらう。患者さんによっては、自分に視覚障害があることを伝える。(B)

 J 新患の方には、視覚に障害があることを話し、痛みの部分などは触って教えてもらう。移動や物を捜す時は言葉で先に出す。そうすると周りの人が気づいて状況説明や物を取ってくれたり捜してくれたりする。(A)

 K 新患の場合は、必要なデータをスタッフに読んでもらいパソコンに入力。患者さんには目が見えないことと、患部に触ることを初めにお断りする。(A)

 L 大学院入学時、教員と大学院生全員に「目が見えていないこと」と「何をサポートしてもらいたいか」の話をして、書面を配付。(A)

 M 就労支援先では、スタッフ全員に視覚の状況と「何をサポートしてもらいたいか」を話し、書面も配付。新たな利用者さんには、自分から話しかけ、声で教えてくれた時には「嬉しかった気持」をすぐ伝える。そうすることで、周りの人が私にどのように伝えたらいいのかに気づいてくれるようになる。(A)

 N 感染症や病理検査専門の部署で、同定等の判断やデータ入力はしない代わりに、細胞検査士認定の為に練習用標本作製や細菌培養を重点的にやっていた。薬剤などの在庫管理や検査技師の下準備をしたりした。(C)


 【Q7】当直・日直はどうしていますか。

 ◆ 医 師

 @ 日直、宿直ともに他の医師と平等に行う。月4回、うち1回は土日の24時間の日当直。県下唯一の24時間、365日診察、入院に応じている精神科救急病院で、形式的には控えの医師が割り振られているが実際に出てきてもらうことはない。緊急な身体処置を必要とする時は、医大や日赤の救急部に搬送する。ヘリコプターも出動。(A)

 A 当直、日直をローテーションの中でやっている。(A)

 B 免除されている。当直は非常勤の医師が多い。(A)

 C 当直は免除、日直はやることがある。(C)

 D 当直・日直業務はない。(複数回答)(A)

 ◆ PT

 E 当直、日直はなく、365日シフト制。(C)

 F 当直、日直はない。(複数回答)(A)


 【Q8】職場内の移動はどのようにしているのですか。

 @ 白杖は使わない。病棟内は看護師に手引きしてもらう。その他の院内は1人で行く。(A)

 A 白杖歩行。狭い場所や歩きにくい場所(食堂の中など)は職員に誘導してもらう。(A)

 B 単独で移動。老人ホームでは認知症入居者の無断外出防止のためエレベーターはパスワードキーがスクリーンのタッチセンサーになっているので、乗る時は誰かに手を貸してもらう。(A)

 C 単独で移動(複数回答)(頭をぶつけたり、段差を踏み外したり、迷子になったり…)。(A、C)

 D 自宅なので独歩可能。(A)

 E 視力の問題では、移動に支障はない。(複数回答)(C)

 F ほとんど移動していない。トイレに行く時だけスタッフに車いすを押してもらう。(A)

 G リハビリ科の中は白杖なし、リハビリ科の外は白杖使用。(A)

 H 更衣室・トイレ・リハ室・ナースステーション・病室など1人で 回っている。(A)

 I 大学院キャンパス内は、学生ボランティアと友達、専任の支援サポーターと一緒に移動。(A)


 【Q9】医学書や専門書はどのようにして読んでいるのですか。
     また、専門分野の情報・一般情報はどのようにして得ているのですか。

 @ インターネットでの検索やPubMed (パブメド)を音声パソコンで利用。デジタルデータで手に入るものは読む。勉強会にはできるだけ多く出席するなど、耳学問が多い。(A)

 A テキストデータ(ボランティアに作成を依頼)を音声パソコンで読む。依頼した音訳をデイジーで聴く。対面朗読してもらいながら自分で点字入力したデータをブレイルメモで読む。点訳をボランティアに依頼、点訳データを音声で読む。(A)

 B 必要な書籍はボランティアにテキストデータ化をお願いして音声パソコンで読む。テキスト化した教科書を、職場や自宅で読み上げてもらってICレコーダーに録音、テープ起こしをする。その他、同級、同窓、同門の親しい医師に医療情報をメールで送ってもらう。(A)

 C 医学書院の電子ジャーナル、今日の診療を利用。サピエから「からだの科学」「健康」「暮らしと健康」など、医学に関する雑誌や本を音声パソコンで読む。テキストデータ化した内科学会雑誌を読む。急ぐものは病院スタッフや妻に読んでもらう。薬剤は、同勤の医師や知り合いの仲間に尋ねる。(A)

 D デイジー図書(公共の図書館から送付)やラジオ第1放送。(A)

 E デイジー・DVDの音声部分を利用、朗読。(A)

 F 医学書・雑誌は拡大鏡で読む。ネット上でPubMedなどを使っている。タブレット型スマートフォン(ギャラクシータブ)に、M2plus launcherから内科学書・今日の治療薬・サンフォード感染症ガイド・イヤーノートなどを入れて調べている。PDFとして取り込んだものも入れておく。(C)

 G DVDの医学書やネット配信の電子ジャーナル、サピエ図書館の医学書、日本精神神経学会月刊学会誌(ホームページの会員専用サイトに掲載)などテキストデータ化したもの(ボランティアに依頼)は 音声パソコンで読む。他、家族にも読んでもらう。(A)

 H 拡大読書器やテキストデータを使用。地元の図書館でデイジー図書を借りたり、対面朗読をしてもらう。(B)

 I 辞書類、文献は拡大読書器で読んだり、図書館の対面朗読を利用。他、ボランティアさんにテキストデータ化してもらい、音声パソコンで読む。(B)

 J 図書館の対面朗読、委託朗読。長文の場合は、OCRでテキストデータ化してもらいUSBに入れて持ち帰る。(A)

 K 音声パソコンでネット閲覧、南山堂医学辞書DVD利用。サピエも利用(但し、漢字・英文に難があり利用頻度は低い)。他、メディア、情報交換のMLなど。本は必要箇所を読んでもらう。(A)

 L 大学院では、専門書籍は支援サポーターがテキストデータ化してくれる。それ以外は、自宅でスキャン画像を取り、ボランティアさんにテキスト化を依頼して音声パソコンで読む。(A)

 M 文献のテキストデータ化をボランティアさんに依頼。単行本は購入時、出版社にテキストデータの提供をお願いする。結構、出版社が応じてくれるようになった。音声パソコンで読む。(C)

 N 拡大コピーをするか、ルーペで読む。(C)

 O 墨字はルーペ使用。データは大型テレビで再生(SDメモリーカードスロット内蔵、パソコンとのリンク可能)。(C)


 【Q10】便利なアイテムや工夫、役に立つソフトや情報がありましたら教えてください。

 @ 音声パソコン
 パソコンの操作、文章の読み書きを読み上げる音声ソフトをインストールしたパソコン。書類作成、会議の記録、デジタル文書、テキストデータ、メール、インターネットなどの読み書きに使う。(A、B)

 A ICレコーダー
 録音してパソコンに入力。行き先には文字の地図帳を作って保存。(A)

 B 読み上げ機能付携帯・スマートフォン(ネット・医学情報)・タブレット
 ギャラクシータブ(7インチ 380グラム)は持ち運びに良くて拡大できる。iPad2はB5サイズで持ち運びはやや不便だが、画面がより大きい。インストールしたノートアプリでノートテイク、スタイラスペンで筆記入力後にテキスト変換したり、録音も併用できるアプリを適宜使い分ける。デイジーは、デイジー再生アプリで聴く。外出先でもネット接続用モバイルWi-Fiルーターで調べものができて便利。パソコン、タブレット、スマートフォンを同期してスケジュール管理等も容易。(C)

 C PTP-1
 サピエ図書館からダウンロードしたデイジー図書やテキストデータ、音声データを、外出先や寝る前によく聴いている。録音もできるので、メモ帳代わりにも使う。(A)

 D インターネットテレビ
 パナソニック製ビエラが有用。白黒反転画面でユーチューブやスカイプを使用。また、パソコンと繋げて大画面に映せるので、拡大率を変えて文章や画像を見ている。(C)

 E 音声読み上げ装置
 スキャナーとOCRから校正。(A)

 F 電子ルーペ
 持ち運びが楽。表示の拡大倍率が切り替えられ、映った画像を固定して対象物から離れたところでも見ることができる。また、対象物とバックグラウンドの色を調節してコントラストを調整できる。欠点は、バッテリー動作のため、充電が足りなくなると表示されなくなること。(C)

 G タッチメモ
 タッチ式ボイスレコーダーで専用シールにタッチして録音、再生可能。衣服に付ける洗濯可能なシールもある。種々の整理に利用。特にCDの整理に有効。カルテにこのシールを貼り、患者氏名、簡単な病歴、病名、処方内容などを看護師に録音してもらうのも良さそう。(A)

 H シール
 膨れているものなら可。資料分類の際に、クリアファイルごとにシールを貼る(例:星のシールは「あ行」、ハートのシールは「カ行」)。また、タイムカードの表面右上にシールを貼ることで、個人識別ができ正確に打刻できる。機械の目盛にリングロッド(触ってわかるポチ)、点付メジャー。(A、B)

 I 携帯LEDスタンド
 照度の低い場所や夜間の歩行に便利。(C)

 J 特製定規
 左右、中央の3ヵ所に線が刻んであり、それを目印にカルテの一部や書類の書き込み、署名を介助者が置いたところにする。紛失防止のため、白衣に鎖で留めておく。(A)

 K サピエ図書館
 視覚障害者や視覚による表現の認識に障害のある人が、インターネットを通じて音声図書データや点字データをダウンロードして利用できる図書館。(A)

 L PubMed(パブメド)
 アメリカ国立医学図書館の国立生物工学情報センター(NCBI)が運営する医学・生物学分野の学術文献検索サービス。(A、C)

 M パソコンソフト「エムエム辞書リーダー」
 医学は少し弱い。(A)

 N Scan Snap
 医学書籍、その他のプリント類を取り込みPDF化してパソコン、タブレットに保存。(C)

 O MyBook
 音声ソフトPC-Talkerに追加して使用するソフト。サピエ図書館からデイジー図書を簡単にダウンロードすることができ、またシステム内で本棚に整理することができる。携帯型デイジープレイヤーにデータを転送することができる。一部のPDF形式の書類も読める。(A)

 P 今日の診療プレミアムDVD-ROM for Windows
 医学書院の書籍13冊を収録し、診断・治療・投薬の参考にできる。毎年最新版が発売され、内容も改訂されている。少しのテクニックだけで、音声パソコンで読める。(A)

 Q 南山堂医学大辞典プロメディカver.3 CD-ROM判
 第19版の内容に画像・音声、用語集などを加えた電子辞典。患者さんの合併症(特に整形以外)を調べる。(A)

 R HotClip
 ほとんどの操作をキーボードから行えるクリップボード履歴&短文入力支援ソフト。短文入力を使って患者さんの簡易なデータベースを1つのブロックとして入力、または必要書類の書式項目ごとにいくつかの定型文を入力しておき、必要時にホットキーから呼び出して貼り付ける。コピーの履歴を設定して、必要な箇所に貼り付けるなど便利。(A)

 S サーチエイド
 ネット検索補助ツール。視覚障害者を配慮してつくられたバリアフリー型ソフトで使いやすい。(A)


 【Q11】日頃、身体や眼への負担軽減のために気をつけていることはありますか。
     また、健康管理はどのようにしていますか。

 @ 特に何もしていない。(複数回答)(A)

 A 健康管理のために、時々、ボランティアさんと一緒にジョギング。(A)

 B 効率良く仕事を進めて疲労を残さないために、22時30分就寝、4時30分起床の早寝早起きを励行。(A)

 C 夏はサングラスをかける。体力低下を防ぐために、スクワット、腕立て伏せ、腹筋・背筋の筋トレ、エアロバイクをこいだりする。(A)

 D 朝の公園散策と、携帯ラジオ持参で戸外で仲間と一緒にするラジオ体操(雨天時は室内、年365日16年継続)。(A)

 E 自己治療の「鍼通電」・休養。(A)

 F 外出時はサングラスをかけ、室内でも遮光眼鏡をかける。不規則な生活を避ける。眼を使うことで体が凝るのでマッサージに行き体をほぐす。(C)

 G 可視光線から眼を守るため、UVカットの眼鏡を使いながらパソコンや拡大読書器を使う。(C)

 H 寝床の中や通勤中にストレッチをする。眼の疲れからくる頸の凝りに整形外科でリハビリを受けている。職場では筋力が落ちないように階段を使う。(B)

 I 荷物を背負い過ぎない。(A)

 J 定時で帰り、残業はしない。残った仕事は自宅でする。無理はしない。(A)

 K 時間が許す限り心ゆくまで寝る。(C)

 L 適度な休憩。(C)

 M 無色透明でコントラストを上げ、紫外線もカットできるレンズを使用(レブラ)。屋外では、偏光機能が付いたレンズを使用(レブラポーラースター)。運動時は、コントラストを上げる黄色コンタクトレンズを装用(アクティブカラーナチュラル)。(C)

 N 塩分、脂肪、糖分控え目の食事。油は体にたまりにくいオリーブ油やゴマ油を使用。(C)

 O ジムでの水中歩行や水泳、サイクリングマシーンでの運動。(C)


 【Q12】息抜きにしていることや、余暇の楽しみは何ですか。

 @ 休日には、当事者グループの催しにできるだけ参加する。精神的なストレス解消にとても良い。(A)

 A 音楽やラジオ・テレビ、映画を楽しむ。友人と酒を飲む(今は少ない)。地元の視覚障害者団体の活動、ネコと遊ぶこと。(A)

 B 障害者バンドの練習、ステージや職場の音楽療法でピアノを弾くこと。架空の鉄道旅行の計画を立てて旅行気分を味わうこと。(A)

 C 近くの公園や里山を散策し、帰りに外食すること。尺八の練習。ネットで新聞を音声パソコンで聞く。(A)

 D 視覚障害の方々の川柳句会の世話人代表をして、句作を楽しんでいる。以前は、老人クラブや障害者団体で健康問題などの社会貢献や鈴の入ったピンポン球を転がすテーブルテニスなど。(A)

 E 音楽鑑賞。(A)

 F 趣味・食事・寝る・マッサージなど。(C)

 G デイジー図書で読書、インターネット、介護者と鉄道で日帰り小旅行。(A)

 H 昼休みに昼寝をすること、業務後にチョコを食べること。プライベートでは、趣味が癒し。(C)

 I 就寝時や明け方、寝床で落語のCDを聴く。通勤時にシャッフルで音楽を聴いて体を揺する。(B)

 J 登山、広島カープ応援団長。(A)

 K お酒とサピエでのテキストの読書。個人で点訳依頼して読書。(A)

 L 友達と美味しい物を食べたり、遊びに行くこと。(C)

 M 楽器演奏や音楽鑑賞。(C)

 N ボランティア活動を通じて子どもと接すること。コーチングをライフワークとして学び、実践している。(C)


 【番外編】回答のハザマで見えた困りごと・お悩み・本音!?

 @ 遠慮なく仕事を持ってくるので、ある意味では大変。当直、日直も本心はあまりやりたくない。(A)

 A 何か機器を使うと時間がかかるので手を広げていない。何をするにも時間との闘い。(A)

 B いろいろ必要なソフトを入れて音声パソコンを利用しているが、情報検索など使いこなすのが難しい。メールの交換程度。(A)

 C 画像所見は、医師や同僚PT、OTから言葉で説明してもらうが、見えていた頃より確認する回数が減り、それが悩み。(B)

 D 人の顔の判別ができにくくなり、退院後の患者さんや家族と外来で会った時や声をかけられた時にわからず、失礼してしまう。(B)

 E インターネットやサピエ図書館、携帯型プレクストークを活用したいが、まだ十分できていない。(B)

 F なぜか太ってしまう。(A)

 G 病院を建て替える時、手すりを各所に付けてもらったが、途切れ途切れで完全とは言えない。(A)


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 【用 語 解 説】

* PT: 理学療法士 (Physical Therapist)

* OT: 作業療法士 (Occupational Therapist)

* ST: 言語聴覚士 (Speech-Language-Hearing Therapist)

* MSW:医療ソーシャルワーカー (Medical Social Worker)

* PSW:精神保健福祉士 (Psychiatric Social Worker)

* PTP・PTP-1(プレクストーク):
 音声案内が出る視覚障害者向け録音・再生装置。
 デイジーやCD-R/RW、CFカードでの録音・再生・編集が可能。
 音楽 CD、MP3などにも対応。PTP-1は携帯型プレクストーク。

* OCR(Optical Character Reader):
 光学式文字読取装置。スキャナーで読み取った画像から文字を識別して文書に変換するOCRソフトもある。

* 音声ソフト:
 パソコンの操作、文章の読み書きを読み上げるソフト。
 PC-Talker、スクリーンリーダー95、JAWS(ジョウズ)、Focus Talk(フォーカストーク)等

* 拡大読書器:
 TV画面に文字等を大きく映し出す器械で、ズームで高倍率と鮮明な画像を得ることができる。
 卓上型とポータブル型、携帯型がある。
 「白黒反転機能」「コントラスト強調機能」「オートフォーカス機能」「ライン機能」
 「赤外フィルター」「遠近両用式」などがあり、文字を見やすくする。

* デイジー (DAISY アクセシブルな情報システム):
 視覚障害者や普通の印刷物を読むことが困難な人々のためにカセットに代わるデジタル録音図書。
 専用の機械やパソコンにソフトウェアをインストールして再生をすることができる。
 国内では、点字図書館や一部の公共図書館、ボランティアグループなどでデイジー録音図書が
 製作され、CDで貸し出されている。

* デイジープレイヤー:デイジー再生機

* パルスオキシメーター:動脈血酸素飽和度をモニターする医療機器。

* ブレイルメモ:
 点字ディスプレイ。点字表示部と各種入力キーを備えたバッテリー内蔵の小型軽量の携帯仕様で、
 データの読み書きやUSBメモリで大量の点字データを持ち歩くことができる。


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